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兵庫県立加古川病院

医療ニュース

The Medical News

2005年8月 第2号

目次

  1. 当院における糖尿病患者動向
  2. 平成16年内科入院患者
  3. 整形外科の実績
  4. 皮膚科の実績
  5. 泌尿器科における腹腔鏡手術について
  6. 産婦人科の治療実績
  7. 眼科の特徴
  8. 耳鼻咽喉科の特色
  9. 癌化学療法における薬剤部の関わり
  10. 編集後記
  11. お問合せ

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1.当院における糖尿病患者動向

中道恒雄

 近年、糖尿病およびその予備軍の数は急速でかつ顕著に増加してきており、いまや成人の6人に一人がそういう状態であることが言われている。当科は以前より糖尿病の方が多く通院しておられ(H16年で約 2800人)、入院される患者数も多い(H16年1年間で323人)ので、今回、その動向について調べることにした。そこでH16年1月1日からH16年12月31日の間に入院した糖尿病患者について集計を取った。

 糖尿病とカルテに病名記載のある入院患者数は、総数として 323人であり、その平均年齢は 57.5歳で、平均在院日数28.7日(最短 1日、最長 125日)であった。

性別は 男性 161人、女性 162人とほぼ同数であった。

 入院目的は、糖尿病のコントロール目的が 225人(全体の 69.7%)で、そのうちクリニカルパスによる教育入院は 53人(全体の16.7%)であった。

 糖尿病のコントロール以外の入院患者数は 98人(全体の30.3%)であった。その内訳は、腹部症状(食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛など)が 18人(全体の 5.6%)、感染症による発熱(急性肺炎、急性気管支炎など)が 14人(全体の 4.3%)、次いで肝疾患(肝癌、肝硬変、慢性肝炎などの精査加療)が 10人(全体の 3.1%)、呼吸器症状(呼吸困難、咳嗽・喀痰、息苦しさなど)が 9人(全体の 2.8%)、胸部症状(前胸部痛、胸部不快感など)とふらつき・眩暈がともに 7人ずつ(全体の 2.2%)となっていた。それ以外では、神経症状(意識障害や麻痺など)、浮腫、ならびに血圧のコントロールの3項目が 6人ずつ(全体の 1.9%)みられた。(表1)

 糖尿病のコントロールが多いのは当然として、入院患者の約3割が糖尿病に併発するさまざまな疾患で入院していることは糖尿病という疾患の特異性を示している。三大合併症といった、糖尿病特有の血糖が高いことに起因する状態のみならず、動脈硬化を背景とした血管の障害から起こってくる疾患など多彩な病気が、糖尿病患者のQOLを著しく悪化させているのが分かる。

 今回は、時間の都合上、入院患者の入院目的を中心に集計したが、引き続き治療面なども順次、集計していきたいと考えている。

表1 当科における糖尿病患者の入院時の入院目的あるいは主訴(H16年)

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2.平成16年内科入院患者

加堂哲治

 平成16年の内科入院患者は次のとおりであった。

入院総数
1349名(内訳 男:736名 女:613名)
年齢
男 14〜94歳 平均 63歳
女 15〜94歳 平均 65歳
  1. 感染症:19名(1.4%)
    • 麻疹:5名
  2. 呼吸器疾患:197名(14.6%)
    • 肺癌:41名
    • 肺炎:80名
    • 気管支喘息:24名
  3. 循環器疾患:48名(11.0%)
    • 高血圧:64名
    • 心不全:33名
    • 狭心症:17名
  4. 消化器疾患:268名(19.9%)
    • 胃癌:27名
    • 食道癌:7名
    • 大腸ポリープ・CF:81名
    • イレウス:23名
    • 胃潰瘍:18名
  5. 肝・胆・膵疾患:248名(18.4%)
    • 肝癌:49名
    • 膵癌:12名
    • 胆嚢・胆管癌:13名
    • C型肝炎:32名
    • 胆嚢・胆管炎:38名
  6. 腎疾患:56名(4.3%)
    • 慢性腎不全51名
    • ネフローゼ3名
  7. 血液疾患:46名(3.4%)
    • 悪性リンパ腫:11名
  8. 代謝疾患:236名(17.5%)
    • 糖尿病:234名
  9. 内分泌疾患:7名(0.5%)
  10. アレルギー疾患:2名
  11. 膠原病:10名(0.7%)
    • SLE:3名
    • 皮膚筋炎:2名
  12. 神経・脳疾患:87名(6.4%)
    • 脳梗塞:37名
    • 脳出血:4名
  13. その他:25名
  • 死亡退院:85名(6.3%)
  • 剖検:3名
  • 転院:59名(4.4%)
  • 転科:58名(4.3%)
  • 悪性疾患:181名(13.4%)
  • 糖尿病:234名(17.3%)

 悪性疾患は、肝癌・肺癌・胃癌・胆嚢胆管癌・膵癌・悪性リンパ腫・食道癌の順に多く、肺癌のリニアック照射、肝癌の経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)や経動脈的塞栓(TAE)、早期胃癌の内視鏡的粘膜切除(EMR)なども増加してきた。また糖尿病は2週間のクリニカルパスに基づくパス入院も多く、医師・看護師・薬剤師・栄養士のチーム医療で教育入院を行っている。C型慢性肝炎の各病態に対応させた、きめ細かなインターフェロン導入も増加してきている。

 一方私の専門とする呼吸器領域をみると、2000年3月に日本呼吸器学会の市中肺炎のガイドラインが世にでてから、市中肺炎の約6割が入院しなくても、外来で治療できるようになった。呼吸不全・脱水・意識障害・高齢者などがなければ十分外来加療ができると言われている。また気管支喘息も1992年国際委員会の喘息ガイドラインや1993年日本アレルギー学会の喘息治療ガイドラインがでてから、全世界で吸入ステロイドを中心とする喘息治療が確立し、日本の喘息死もそれまでの年間6500人から、最近では3700人に減少して来た。しかし本院の気管支喘息入院が24名と多く、平成15年度の東播磨地域の喘息死が兵庫県の平均より高いことなどが示すように、まだまだ本院外来での喘息コントロールが不十分と思われる。今後は肺炎・気管支喘息患者の入院を減少させるように努力していきたい。

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3.整形外科の実績

原田 俊彦

当院整形外科はH16年度も東播地域の先生方のご協力により、臨床でも、研究でも多くの実績をあげることができた。
今回は16年度の実績について報告する。

  1. 手術件数:605件
    • 脊椎外科:90例
    • 人工関節:56例(人工股関節:27例、人工膝関節:29例)
    • 靭帯再建:18例
    • 関節鏡:65例
    • 外傷:230例
  2. 学術活動
    • 学会発表(講演含む):12演題(うち海外発表:1)
    • 論文発表:7編(うち英文:2編)
  3. 手術症例の傾向と今年の目標

     昨年度は例年より人工関節の症例が増加し、初めて施設基準をクリアした。また外傷症例の手術件数が飛躍的に伸びたため、例年500件前後だった手術件数が一気に600を越えるようになった。

     脊椎外科も少しずつではあるが手術症例が増えている。今年度は脊椎手術のMinimum Invasive Surgery (MIS)用にMetrx MDというシステムを導入したので、これまでの顕微鏡視下手術よりさらに小侵襲な手術が可能となった。

     また昨年度より人工関節に関してもMISの手技を取り入れており、今後さらに時代の要求に応じた小侵襲手術を推進したいと考えている。

     整形外科は高齢者人口が増えれば増えるほど、そのニーズが高まる診療科である。手術件数も当然増えることが予想される。また新病院への移転も決まり、将来に備えてさらに高度な整形外科医療に対応できるよう修練を重ねたいと思っている。

  4. スポーツ整形外科の宣伝

    当科ではサッカーJ1リーグヴィッセル神戸の医療をサポートしている。昨年はメディアを騒がせたイルハンも当科を受診した。最近引退したエムボマ始め多くのプロ選手が受診しているが、当科のスポーツ整形外来はトッププロ選手の受診が多い割に学生アスリートなどのアマチュア選手の受診が少ないようである。スポーツ整形外来は水曜日の午後に開いている。県立病院は午後は診察していないと思われているようだが、実際には4時頃まで診察しているので、スポーツ障害でお困りの患者様がおられればお気がねなくご紹介下さい。

  5. のじぎく国体のバックアップ

    来年ののじぎく国体で加古川では女子サッカー、少年男子バレーボール、少年女子ハンドボールの開催が予定されており、当院では国体の後方支援を行う予定である。要望があれば選手の整形外科的メディカルチェックも可能である。また会場医事運営にもできるだけ協力したいと考えているのでよろしくお願いいたします。

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4.皮膚科の実績

足立 厚子

  1. 16年度業績・実績

    a)入院実績:定床12床のところ1日当たり13.8床入院(114.7%)

    入院患者疾患別内訳

    16年度全入院患者数:216例
    感染症:63例
    • 帯状疱疹:42
    • カポジ水痘様発疹症:7
    • 蜂か織炎・丹毒:11
    • 麻疹:1
    • 重症水痘:2
    アレルギー性皮膚疾患:36例
    • 薬疹:12
    • 蕁麻疹・アナフィラキシー:6
    • アトピー性皮膚炎:6
    • 多形紅斑:2
    • 紅皮症:7
    • 難治性痒疹:3
    悪性腫瘍:31例
    • 悪性黒色腫:5
    • 皮膚有棘細胞癌:4
    • パジェット病:2
    • 基底細胞癌:10
    • ボーエン病:5
    • 隆起性皮膚繊維肉腫:2
    • 皮膚悪性リンパ腫:3
    膠原病:23例
    • 全身性エリテマトーデス:6
    • 皮膚筋炎:4
    • 全身性強皮症:2
    • 全身性血管炎:10
    • 混合性結合織病:1
    良性腫瘍:14例
    水疱症:12例
    • 天疱瘡:4
    • 類天疱瘡:6
    • 後天性表皮水疱症:2
    ベーチェット病・スイート病・結節性紅斑:10例
    広範囲熱傷:8例
    慢性膿皮症:5例
    皮膚潰瘍:6例
    • 糖尿病性壊疽:3
    • 下腿潰瘍:1
    • 褥瘡:2
    炎症性角化症:6例
    • 乾癬・膿疱性乾癬:5
    • 掌せき膿疱症:1
    好酸球増多疾患:2例
    • 高好酸球症候群:1
    • 木村病:1
  2. 平成17年3月新しい機器:炭酸ガスレーザー(JMEC)が導入された。

    脂漏性角化症・疣・コンジローマ・血管拡張性肉芽腫などの隆起性良性皮膚腫瘍に威力を発揮している。

  3. トピックス

    当院皮膚科では各市町の教育委員会の御協力のもとに、平成15年度に東播磨地域(加古川市・加古郡・高砂市)の公立小・中・高校の生徒に対して、アレルギー疾患についてのアンケート調査を行った。特に近年増加しつつある食物依存性運動誘発性アナフィラキシー・花粉症に伴う口腔アレルギー症候群は、学齢期の子供に好発し、時には致死的となるため、保護者・学校関係者・医療機関に対する啓発活動が必要と考える。パンフレットの配布のほか、市民フォーラム・医師会研究会などで講演活動をしている。当地域の生徒に対するアンケート・実態調査については経時的に施行の予定である。

  4. 診療内容

    a)皮膚外科分野

    • 皮膚悪性腫瘍・良性腫瘍・難治性皮膚潰瘍に手術的治療・創傷処置・術後創傷ケアをしている。
    • 皮膚悪性腫瘍には手術治療のほか、電子線照射などの放射線治療・化学療法を含めた再発予防・全身管理をしている。

      手術

    • 広範囲熱傷におけるデブリドントおよび植皮術
    • 皮膚原発固形悪性腫瘍に対する悪性腫瘍切除術および再建術・センチネルリンパ節生検術
    • 皮膚原発良性腫瘍切除および有茎皮弁作成再建術
    • 難治性潰瘍に対するデブリドメントおよび植皮術もしくは有茎皮弁作成術
    • 瘢痕形成術
    • 陥入爪甲に対してはアクリル人工爪およびフェノール法による治療

    b)皮膚内科分野

    1. アレルギー疾患

      蕁麻疹、接触皮膚炎(手湿疹を含む)、金属アレルギー、アナフィラキシー、薬疹、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などについて、問診、血液検査、皮膚テスト、負荷テストなどを行い、原因物質の検索を行っている。薬剤、化粧品、医薬部外品、日用品のアレルギーでは成分をメーカーより取り寄せ検査をすることにより、原因成分を決定し安全な代替品を紹介している。即時型アレルギーの一部では減感作治療を施行している(蜂毒ショック、花粉アレルギーなど)。
      重症型薬疹も入院の上治療および原因薬の究明および再発予防に努めている。

    2. 膠原病、血管炎、水疱症などの自己免疫疾患、べーチェット病

      全身疾患の診断を皮膚臨床所見や病理所見から診断をつけることが出来ることも多く、内科などからの問い合わせも多数ある。早期に診断をつけ、病状に応じて外来経過観察もしくは重症例では入院の上ステロイド・免疫抑制剤による治療を施行している。

    3. 皮膚悪性リンパ腫、血液疾患に伴う皮膚病については、病理組織、免疫染色、遺伝子再構成、フローサイトメトリー、原因ウイルス検索などを施行し、診断、病態の解明、免疫療法・手術・化学療法・放射線療法を施行している。
    4. 脱毛症に対して、基礎疾患精査の上、紫外線治療やSADBE治療をしている。
    5. 乾癬・掌せき膿疱症・痒疹・類乾癬・アトピー性皮膚炎に対しては東芝デルマレイ紫外線治療器全身型・東芝デルマレイ紫外線治療器部分型を用いて、PUVA療法・UVB療法を施行している。広範で難治の場合、入院の上内服PUVA療法もしている。
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5.泌尿器科における腹腔鏡手術について

田中宏和

  1. はじめに

     今回は当科での腹腔鏡手術について紹介させていただきます。腹腔鏡手術は外科における胆嚢摘除術から始まり、小さな傷で手術が行えるため、術後の疼痛が少なく回復が早いことより急速に普及した。泌尿器科領域では停留精巣における腹腔内精巣の観察、摘出から始まり、副腎の良性腫瘍に対する摘出術に多く用いられてきた。しかし、2002年4月より、腎悪性腫瘍に対する手術にも保険適応が拡大され、飛躍的に全国に普及することとなった。当科でも2003年1月より腹腔鏡手術を開始し、2005年6月末までに31症例に達している。

  2. これまでの実績
    • 腎癌に対する腎摘除術:12例
    • 腎盂尿管癌に対する腎尿管全摘術:9例
    • 無機能腎に対する腎摘除術:4例
    • 腎盂形成術:2例
    • 副腎腫瘍摘除術:1例
    • 後腹膜腫瘍摘除術:1例
    • 腎嚢胞切除術:1例
    • 精索静脈瘤手術:1例

     この内、開腹手術に移行したものが2例あり、どちらも腎癌に対する腎摘除術で、理由は腎静脈からの出血と周囲との高度な癒着であった。出血量は500ccを越えるものが6例あったが、いずれも初期のもので、最近の症例ではほとんどが100cc以下となっている。術後はほとんどの症例で1日目から歩行可能で、1または2日目から経口摂取も可能であった。合併症は大きなものは認めず、入院期間も社会的な要素を除けば、10日前後で十分と考える。

  3. 手術方法

     主な手術の手術方法について簡単に述べさせていただく。まず、腎癌に対する腎摘除術であるが、アプローチは通常の腹腔鏡手術と同様に腹腔内を気腹して行いる。腎を摘出するのには最終的に7?8cmの切開が必要なので、最初に正中に7cmの切開をおき、ラップディスクまたはジェルポートを装着し、ガスがもれないようにしる。気腹した後、約1cmのポート孔を2つ加え、カメラと鉗子を挿入し、先程のディスクから術者の片手を挿入し、手と鉗子で手術を進める。この方法は用手補助下腹腔鏡手術と呼ばれる方法で、手の感覚も使えるので従来の開腹手術と似た感じで行えるのが特徴である。次に腎盂尿管癌に対する腎尿管全摘術や無機能腎に対する腎摘除術であるが、この場合は後腹膜アプローチで行う。すなわち、後腹膜と腰方形筋との間にバルーンダイレーターでスペースを人工的に作成し、そこを気腹して側腹部の4つのポート孔から操作し腎を摘出する。この方法の最大の利点は腹腔内には入りませんので、術後腸管の癒着などの合併症がなく、また、腹腔内手術の既往があっても行えることである。ただ、術空間が小さいので手術操作が難しい感がある。

  4. おわりに

     腎・副腎腫瘍に対する手術は、局所進行癌以外はすべて腹腔鏡手術が第1選択とすべき時代となってきており、当科でも安全に細心の注意を払いつつ、今後も腹腔鏡手術を積極的に行っていく所存である。

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6.産婦人科の治療実績

保科 眞

 当科では平成16年4月より小児科医不在と云う現実の中、新生児の管理が不充分になるために、産科部門が休診となっており、多くの方々に大変御迷惑をお掛けいたしました。
 診療内容は婦人科が中心となったものの、妊娠12週までの妊婦、特に子宮外妊娠などの異常妊娠は現在も取り扱っている。さらに子宮・卵巣悪性腫瘍の集学的治療とフォローアップ、中高年婦人の更年期障害に対するHRT(ホルモン補充療法)、生活習慣病にまつわる高脂血症・高血圧の治療、子宮・卵巣の良性腫瘍手術、子宮膀胱脱の根治手術などが主な診療内容となっている。

平成16年度の治療実績は以下の通りである。

  • 子宮悪性腫瘍手術:15例
  • 卵巣悪性腫瘍手術:12例
  • 腹式子宮全摘術:70例
  • 腟式子宮全摘術:5例
  • 卵巣良性腫瘍手術:28例
  • 子宮脱根治術:20例 (腟式子宮全摘ならびに腟壁形成術)
  • 子宮筋腫核出術:10例
  • 悪性腫瘍化学療法:98クール
  • Liniac治療:11例 (進行子宮頚癌)
  • 死亡:8例 (全て癌末期患者)

 現在、産婦人科の医師は2名であるため、木曜日は外来休診とし手術日としている。

 当科では地域の中核病院として子宮・卵巣悪性腫瘍の手術・化学療法、さらにそれらのフォローアップを中心に積極的に行ってゆく。特に昨年6月からは最新のリニアック装置が更新され放射線治療も一層充実した。中高年婦人の生活習慣病や更年期障害の管理は将来の重篤な疾患の発症を減少させ地方経済にも大きく寄与するはずである。
 また高齢化に伴って増加している子宮脱・膀胱脱の根治術も積極的に行っている。多くの高齢婦人たちは羞恥心のためか子宮脱について家族にも話すこともなく、また団体の旅行などにも参加せず内にこもりがちな生活を行っておられる。根治術は技術的難易度の高い手術であるが通常腟式手術が可能であり、術後の苦痛も軽く手術による生活の質の改善は著しいものがある。他の疾患と異なり話題にしにくい病態ではあるが、密かに悩んでおられる患者様方、是非当婦人科をお尋ね頂きたい。

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7.眼科の特徴

薄木 佳子

 医師の異動等にともない、外来担当が変更となりましたので、新しい診療体制やトピックスなども含めてお知らせ申し上げます。

現在、当科の外来では、4名の医師と3人の視機能検査技師、2人の看護士で診療をおこなっている。8月以降の外来担当医師予定は以下の通りである。なお、1診が主に初診を行っている。

 
1診 長井 薄木 田邊 椋野 薄木
2診 薄木 長井 椋野 田邊 長井
3診 椋野 田邊     椋野

 平成16年に当科において施行した手術件数669件の内訳は、白内障452件、網膜硝子体88件、斜視17件、眼瞼下垂32件、涙道関連30件、緑内障9件と多儀にわたっている。

 最近の特徴のひとつとしては、涙道再建術がある。涙嚢鼻腔吻合術は従来の鼻外法の他に、耳鼻科の協力を得て鼻内法もおこなっており、再発率では劣るが、皮膚切開せずに概ね短時間で手術を施行することがでる。またNSチューブ留置も良好な成績をおさめているので、急性涙嚢炎や慢性涙嚢炎の他にも、流涙を自覚される患者さんは紹介していただければと思っている。

 特徴のふたつめとしては、硝子体手術の導入である。これにより難治であった網膜硝子体疾患についても幅広い対応が可能となってきた。例えば、糖尿病の眼合併症は、以前ならばレーザー光凝固によって増殖性の変化を抑えることがその治療のメインだったが、硝子体出血や網膜剥離など増殖性の変化がおこってしまった網膜症に対しても、手術加療をおこなうことで対処することが出来るようになった。他にも黄斑浮腫、黄斑円孔、黄斑前膜、重症の網膜剥離などが硝子体手術の適応となるので、必要な患者さんは紹介いただければと思っている。

 また、従来のFAGやICG造影検査と合わせて、近々OCTも導入予定である。上記の硝子体手術の適応を判断するだけでなく、加齢性黄斑変性や網膜動脈瘤、網膜中心静脈閉塞症などさまざまな黄斑部疾患の治療方針を決定するのに大きな助けとなるから、是非ご相談ください。

 さらに、6月に新しく赴任した椋野医師は、前職の神戸大学病院で角膜専門外来において眼表面のさまざまな疾患の治療に携わってきた。特にこの何年かは、大学病院での角膜移植のほぼすべてを執刀し、そのときに関わってきた患者さん達が、今でも西は姫路、東は伊丹から当科の外来を受診しにこられている。眼表面疾患の治療も引き続いておこないますから、例えば慢性関節リウマチにともなうドライアイやアトピー性皮膚炎にともなう角結膜炎、ヘルペスの眼合併症なども含めて紹介いただければと思っている。また、角膜の手術に関しては角膜移植術の他に羊膜移植術もおこなっていく予定である。角膜移植術は、水疱性角膜症、ヘルペスや梅毒感染後の角膜実質炎にともなう角膜混濁、角膜変性症、円錐角膜などが適応疾患になる。また、羊膜移植術には、上皮化促進、消炎、癒着防止などさまざまな効果があり、角膜穿孔、アルカリなどの化学外傷、再発翼状片などが適応疾患になる。その他も含めて前眼部疾患について何でもご相談いただければと思っている。

 このように現在当科は、眼瞼、涙器、角結膜、水晶体、硝子体、網膜とすべてにおいて対応可能な体制になっている。「前眼部疾患から後眼部病変まで」をモットーに引き続き地域医療に貢献していきますので、今後ともなお一層のご高配賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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8.耳鼻咽喉科の特色

吉田尚史

  1. 診療内容の特色

     平成17年7月から常勤医師が変わりましたが、従来と同様に常勤医1名で診療を行っている.外来は、週3日は1診のみ、木曜日は阪本医師(県立こども病院医長)に応援に来ていただき2診で行っている。水曜日は手術日のため外来は行っていない。耳鼻咽喉科全般の診療を行っているが、1人での診療のため疾患によっては関連病院にご協力をいただいている状況である。また咽頭や喉頭の急性炎症性疾患や顔面神経麻痺、突発性難聴などの疾患に対しては必要があれば受診当日に入院していただき点滴治療を行うようにしている。

     手術は毎週水曜日に行っており、扁桃摘出手術、内視鏡下鼻内的副鼻腔手術、喉頭微細手術などを中心に行っている。また耳下腺や顎下腺などの良性腫瘍手術については応援医師を依頼して行っているが、応援医師との日程調整等の面から数多くは行えない状況である。

  2. 今後の方針

     少人数での診療体制であり不備な点も多いかと思うが、周囲の医療機関とも連携をとり、個々の疾患に対する最良の医療を提供できるよう、また患者様から信頼される医療を目指し、取り組んでいきたいと考えている。

  3. スタッフの紹介
    吉田 尚史(耳鼻咽喉科医長、平成6年卒)
    耳鼻咽喉科専門医
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9.癌化学療法における薬剤部の関わり

高村志保

  1. 目的

     平成14年4月、癌化学療法を安全に実施するために「癌化学療法の適正使用マニュアル」を作成し、これに基づいて薬剤部におけるプロトコール管理と化学療法届出制による癌化学療法の実施を開始した。院外処方せん発行後、平成16年3月からは薬剤部において抗癌剤の混合調製を行っている。現在では、院内で使用される抗癌剤の大部分を薬剤部で調製している。今回、入院処方オーダリングシステムを導入していない当院の癌化学療法におけるリスクを軽減するため、プロトコールの登録方法等を見直したので報告する。

  2. 方法

     プロトコール管理を開始した当初は、診療科毎に登録作業を行っていた。そのため同じプロトコールでも各診療科からの登録が必要であり、登録作業も煩雑であった。薬剤部において抗癌剤の混合調製を開始後、調製時のリスク軽減のため診療部にレジメンの統一を提案したところ、医師からはプロトコールを全診療科で共有したいとの要望があった。今回プロトコールの登録方法を全診療科統一に変更し、レジメンの統一も行った。それに伴い、医師の処方ミスを防止するとともに、薬剤部における処方鑑査やプロトコール確認を確実に行うため、登録プロトコール集を改訂した。

  3. 結果

     プロトコールを全診療科共有としたことでプロトコールの整理ができ、登録・管理業務が簡略化した。またレジメンの統一により処方鑑査が容易になり、混合調製時のリスクが軽減できた。またラベル作成においても処方オーダリングシステム未導入であることによる煩雑さが軽減できた。

  4. 結論

     当院では、患者毎にプロトコール名による登録を行ってから化学療法を開始するため、プロトコールの全診療科での共有とレジメンの統一は、薬剤部において処方を鑑査する上で有効であり、混合調製時の過誤も防止できる。今後は癌化学療法クリニカルパスへの応用など、チーム医療の中でより安全な化学療法が実施できるよう取り組んでいきたいと考えている。現在は医師、看護師とも共有できるワークシートを作成中である。

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10.編集後記

 猛暑のみぎり、夏バテせずにお元気でお過ごしでしょうか。

 「医療ニュース創刊号」を発行してから、半年が過ぎました。JR福知山線の脱線事故、イギリスロンドンの爆破テロなど救急医療・災害医療が問われた半年でもありました。本院の基本的方向のなかでも、医療審議会の答申を踏まえて「救命救急センター」を整備し、東播磨地域における3次救急医療を提供することになっており、今年中には具体的な構想が決まることになっています。

 「医療ニュース第2号」を皆様のもとに送らせていただきます。まだまだ内容的には未熟ですが、各診療科・各部署とも原稿を書くことに慣れてきたようですので、次回はもっと内容のあるものにしたいと思っております。

2005年8月  加堂 哲治

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お問合せ

〒675-8555 加古川市加古川町粟津770-1

兵庫県立加古川病院

編集委員長 加堂 哲治

TEL 079-423-0001  FAX 079-423-3820

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