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兵庫県立加古川病院

医療ニュース

The Medical News

2006年1月 第3号

目次

  1. 生活習慣病外来
  2. 平成17年度泌尿器科手術実績
  3. 腹腔鏡下手術について
  4. 外陰部の湿疹には注意が必要です。
  5. 脊椎外科の最近の動向
  6. 当院におけるC型肝炎に対するインターフェロン療法の現況
  7. 編集後記
  8. お問合せ

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1.生活習慣病外来

前田 和佳子

 かつて[成人病]と呼ばれていた「生活習慣病」は運悪く罹る病気ではなく、自分の責任で行っている生活習慣が原因で発症する病気と言える。なかでも、「がん」「心臓病」「脳卒中」は三大生活習慣病と呼ばれ、日本人の死因の約6割を占めている。厚生労働省はこれまで「成人病」対策として、病気の早期発見と早期治療に重点を置いていた従来の2次予防対策に加え、その発症や進行に深く関わっている生活習慣の改善を目指し、発病そのものを予防する1次予防対策を推進する為に「生活習慣病」と言う概念を新たに導入し、「健康日本21」の政策を打ち出した。

 県立加古川病院は基本理念の1つに「地域の医療連携のもと生活習慣病の予防と早期発見・早期治療に努める」と謳っており、平成16年4月より肝臓疾患、心疾患、高血圧、糖尿病、更年期障害などいわゆる生活習慣が深く関連している病気の予防と治療、相談、指導を目的として、生活習慣病外来を開設した。

 生活習慣病外来は、月曜日・火曜日・木曜日・金曜日の14:00〜16:00の時間帯で1人30分の完全予約制で運営されている(表1・表2)。診察は殆どの方が家族同伴であり、診察室へも一緒に入り説明や指導を受けることができる。家族同伴で診察することにより患者本人の気付かない面からの生活習慣を聞くことができその結果、タイムリーな指導や情報提供を行うことができている。またセカンド・オピニオンとして来院される患者様や家族は現在の治療や今後の治療に対しての相談、その他不安や疑問に思っている事柄についてゆっくりとした雰囲気の中で聞く事ができ受診結果に満足されている。生活習慣病外来は診断のついていない初診の患者様を対象にしているが、検査結果の説明や指導の時間が足りなかった場合、また患者様が希望される場合は再診予約も受け付けている。

表1.診察予定表(平成16年4月〜平成17年9月)

月曜日 火曜日 木曜日 金曜日
肝臓疾患 婦人科疾患 糖尿病 循環器疾患

表2.診察予定表(平成17年10月〜)

月曜日 火曜日 木曜日 金曜日
肝臓疾患 糖尿病 骨粗鬆症 循環器疾患

平成16年4月から平成17年7月までの受診患者数は151名であった。年齢は12歳〜90歳と幅広い年齢層であった。
受診患者151名の状況を以下に示す。

  1. 疾患別受診患者数
    • 肝臓病 101名(67%)
    • 糖尿病 30名(20%)
    • 循環器病 15名(10%)
    • 更年期障害 5名(3%)
  2. 受診患者主疾患名
    • C型肝炎 59名(40%)
    • 糖尿病 30名(20%)
    • 高血圧 13名(9%)
    • B型肝炎 10名(7%)
    • 高脂血症 6名(4%)
    • 更年期障害 5名(3%)
    • 肥満 4名(3%)
    • 脂肪肝、アルコール肝炎、不整脈、PBL(原発性肝汁性肝硬変) 各2名(各1%)
    • その他
      (非アルコール性脂肪肝、肝硬変、高CAE血症、肝臓癌、閉塞性黄疸、大腸ポリープ、肝障害、自己免疫肝炎、高ALP血症、心肥大、狭心症、三尖弁閉鎖不全、僧帽弁狭窄、バーター氏病、WPW症候群、パニック症候群 各1名)(10%)
  3. 受診患者 男女別・平均年齢
    • 男性76名 53.8歳
    • 女性75名 54.5歳
  4. 受診したきっかけ
    • 他病院紹介 58名(38%)
    • 院内紹介 32名(21%)
    • その他(自発的受診) 61名(41%)
  5. 初診後の状況
    • 院内他科紹介 52名(34%)
    • 他病院紹介 34名(22%)
    • 入院 26名(17%)
    • 継続 26名(17%)
    • 終了 16名(10%)

 生活習慣病は遺伝的な体質に加え、偏った食生活や食べ過ぎ、飲酒、喫煙、睡眠不足、不規則な生活リズム、過剰なストレス等を見直す事で多くは予防する事が出来ると言われている。生活習慣病外来を受診し、疾病に対する問題が明確になっても今後の生活指導へとつないでいく体制がまだ出来ておらず継続的な連携が十分に行われていない状況である。患者様の食生活・飲酒・喫煙・運動等の生活習慣に深く関わり、治療に必要な指導を行なう為には、医師以外に、薬剤師・栄養士・理学療法士・看護師等のコメディカルがチームを組んで、患者様本人だけでなく、患者様をサポートする家族を含めて指導にあたる事が必要である。そのためには、院内の連携は当然の事であり、地域社会とも連携を持ち患者様が疾病の悪化を招くことなく治療を継続し、また良い生活習慣を維持する事が出来るように援助しなければならない。

 今後は生活習慣病の1次予防・2次予防を行う為に、生活習慣を見直し継続的な診療や生活指導を行う事が出来る体制の確立が課題であると言える。また生活習慣と関連しているメタボリックシンドロームに関しても生活習慣病外来に於いて指導して行きたいと考える。

 セカンド・オピニオンに関しては、平成17年7月より内科・外科・整形外科・皮膚科・泌尿器科・婦人科・眼科・耳鼻科・放射線科の各科の専門医により月〜金曜日に1名の枠で実施されている。(表3)予約に関しては生活習慣病専門外来と同様に医事課受付で行っている。

表3.セカンド・オピニオン予定表

  診療科 専門 曜日 時間 枠数 場所
 1  内科 呼吸器科 水曜日 15:30 内科外来
消化器・肝臓 月曜日 16:00 生活習慣病外来
循環器 火曜日 11:00 生活習慣病外来
糖尿病 木曜日 16:00 生活習慣病外来
 2  外科 外科一般 水曜日 16:00 生活習慣病外来
乳腺 水曜日 11:00 生活習慣病外来
 3  整形外科 脊椎・スポーツ 水曜日 15:00 生活習慣病外来
関節・外傷 木曜日 14:00 整形外科外来
 4  皮膚科   月曜日 9:30 生活習慣病外来
 5  泌尿器科   金曜日 16:00 泌尿器科外来
 6  婦人科   月曜日 15:00 婦人科外来
 7  眼科 眼科一般 金曜日 9:00 眼科外来
眼科一般 月曜日 14:00 眼科外来
角膜 水曜日 13:30 眼科外来
 8  耳鼻科   火曜日 15:30 耳鼻科外来
 9  放射線科   月曜日 9:00 放射線科外来
参考資料
厚生労働省ホームページ「健康日本21」
生活習慣病とは
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2.平成17年度泌尿器科手術実績

田中 宏和

 平成17年度は腎悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術が増加したのが目立ち、他は昨年度とほぼ同じ傾向であった。当科の特徴の一つである浸潤性膀胱癌に対する膀胱温存療法である動注化学放射線療法も7例に行い、近接効果は良好であった。以下に各疾患別の主な手術や治療の件数を報告する。

  • 悪性腫瘍:140例
    腎癌
    根治的腎摘除術(開腹):4例
    根治的腎摘除術(腹腔鏡):8例
    腎盂尿管癌
    腎尿管全摘術(開腹):2例
    腎尿管全摘術(腹腔鏡):8例
    膀胱癌
    経尿道的膀胱癌切除術:96例
    膀胱部分切除術:1例
    膀胱全摘術:2例
    (膀胱温存動注化学放射線療法:7例)
    前立腺癌
    前立腺全摘術:33例
    精巣癌
    高位精巣摘除術:3例
  • 良性疾患:304例
    尿路結石
    体外衝撃波腎尿管結石破砕術:159例
    内視鏡下腎尿管結石砕石術:28例
    内視鏡下膀胱結石摘出術:21例
    前立腺疾患
    経尿道的前立腺切除術:46例
    (前立腺生検:204例)
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3.腹腔鏡下手術について

足立 確郎

 腹腔鏡下手術とは腹腔鏡と呼ばれる直径10ミリの細長いカメラを「おなか」の中に挿入し、テレビモニターに「おなか」の中を映し出しながら手術を行う。実際は「鉗子」(図1)と呼ばれる専用の細長い器具を使い、剥離、切除、縫合、止血などの操作を行いながら手術を進めていく。(図2)

図1
図2
  • 長所
    1. 痛みが少ない

      「おなか」を大きく切らないことから、患者さんの手術後の痛みが非常に少ないのが、大きな長所である。

    2. 手術後の快復が早い

      手術後早くから食事ができ、日常生活・仕事への復帰が早くなる。

    3. 傷あとが小さく目立たない

      手術後の傷あとは非常に小さく、目立たない。

  • 短所
    1. 手術が難しい

      高度な技術が要求され、熟練を要す。

    2. 手術時間が長くなる

      非常に細かい丁寧な手術操作のため「おなか」を切る手術に比べて手術時間が長くなる。

 わが国では1990年代前半に腹腔鏡下手術が導入されて、10年以上が経過したが、この間様々な器具の進歩とともにこの手術は全国的に急速に広がった。当初は胆石症・胆嚢ポリープに対して導入され、その後大腸手術、脾手術、胃手術、肝臓手術、食道手術へと発展してきた。

 腹腔鏡下大腸手術の適応疾患は、良性疾患(大腸憩室症、大腸腺腫症、潰瘍性大腸炎など)および悪性疾患(大腸癌Stage0,StageT)である。その他脾手術では特発性血小板減少性紫斑病、脾腫瘍、胃手術では早期胃癌、胃粘膜下腫瘍、肝手術では肝のう胞、肝腫瘍の一部、食道手術では食道アカラシア、胃食道逆流症などが適応疾患としてあげられている。

 当院外科でも1991年に腹腔鏡下手術を導入して現在までに600例の手術を経験している。そのほとんどは胆石症・胆嚢ポリープに対する腹腔鏡下胆嚢摘出術であるが、2002年からは腹腔鏡下大腸手術を施行し、本年度から腹腔鏡下胃手術を開始した。今後ますます修練をかさね、腹腔鏡下手術を発展させたい。

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4.外陰部の湿疹には注意が必要です。

佐々木祥人、下浦真一、足立厚子

 外陰部の皮疹が出現したとき場所的に人に見せたり相談することが恥ずかしく、ついつい自己判断にて『股ずれ?』『タムシ?』など考えて放置したり、放置しないまでも薬局で塗り薬を買って済まされるケースは多いと思います。実際、股部・外陰部の湿疹は股部白癬やガンジダ性間擦疹や間擦性湿疹が多いのですが、その中にまれに皮膚悪性腫瘍や前癌病変と呼ばれるものが見られることがあります。

 女性の50歳から60歳前後で発生が多く、男性では陰嚢に、女性では会陰部や大小陰唇周囲に発生が多い『乳房外パジェット病』という病気があります。かゆみが軽度あり、一見すると湿疹に見えるので、思いきって受診された場合でも湿疹と診断され、長期間外用のみで治療されてしまうケースがある疾患です。進行すると隆起を生じ、硬くなります。
進行すると『乳房外パジェット癌』になり大変生命予後の悪い疾患になります。

 次に陰茎先端や大小外陰唇部に生じ、暗赤紅色で、かゆみは不定、時に痛みを生じる疾患に紅色肥厚症と呼ばれる『ボーエン病』という疾患があります。放置すると進行し、『有棘細胞癌』になります。この疾患は特に男女差はありません。

 最後に中年以降の女性に多い疾患で、会陰周囲に白色で萎縮性に見られ、時にかゆみを生ずる疾患で『硬化性萎縮性苔癬』という病気があります。男性でも会陰部や亀頭に生じます。この病変は前癌病変といわれ長期間放置するといわゆる皮膚がんになる可能性のある病変です。

 今回代表的な病変を3つ挙げましたが、このほかにも皮膚癌はこの部位にいろいろ出現します。長期間いろいろな外用剤を使用しても治らない湿疹・皮疹があれば是非皮膚科に受診され、専門医に相談されることをお勧めします。

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5.脊椎外科の最近の動向

原田 俊彦

 今回は県加古整形外科の特色である脊椎外科について紹介させていただきます。

 脊椎外科は整形外科の中でもメジャーな分野ではありますが、繊細な組織である脊髄神経を扱うという特殊性から一般の整形外科医からは敬遠されがちで、当科の脊椎外科は東播圏域において特徴的であると言えます。

 また脊椎脊髄外科は脳外科とオーバーラップするところがありますが、整形外科の脊椎外科が側弯症の矯正から始まっているため、その特徴は脊髄神経のみならず、脊髄を保護する脊椎、脊柱のアライメントを考えた治療(手術)を行うことにあり、脊椎固定術は整形外科の得意とするところです。

 整形外科における脊椎外科の変遷として、ここ十数年は学会でも脊椎の不安定性やアライメント、脊椎固定術の適応という問題が議論され、椎弓根スクリューを主とした脊椎インスツルメンテーションがめざましく発展しました。特にヘルニアや脊柱管狭窄症といった変性疾患に対する固定術は飛躍的に増え、北米では神経症状のない椎間板変性にまで固定術が行われるようになりました。しかし固定術やインプラントに特有な合併症も多数報告されるに至り、最近では何でもインプラントを入れて固定するという風潮に歯止めがかかりつつあります。当科でも脊椎外傷や脊椎腫瘍(主に転移性腫瘍ですが)などで明らかな不安定性があるものに対しては積極的に脊椎インプラントを使用した手術を行っていますが、変性疾患に対する固定術にはかなり慎重に適応をつけ、症例を選択して行っています。この9年間に当科で施行したインプラントを使用した固定術は85件でしたが、そのうち変性疾患に対して行った固定術は43件でした。

 一方ここ数年で脊椎外科にもminimum invasive surgery(MIS)という概念が拡がりつつあり、術後の安静期間を短くして後療法を簡略化し、在院日数を短縮させるような手術法が急速に発展しています。その代表的なものが内視鏡によるヘルニア手術です。従来のラヴ法では大きく開けて確実に視野を得るのが原則でしたが、内視鏡(あるいは顕微鏡)で小さく開けて明るく拡大された視野でヘルニアを取るのが要点です。当科では以前より顕微鏡を使用した小侵襲手術を行っていましたが、昨年からは内視鏡手術と全く同じ侵襲で行える器械を導入して最小侵襲のヘルニア手術を行っています。メリットとしては術翌日から歩行できるということです。しかし傷が小さいというだけでヘルニアを切除するという操作には変わりありませんので、痛みが取れたからといって無茶をしないように患者様に指導する必要があります。当科ではこの9年間に134件の顕微鏡視下ヘルニア手術を行いました。

 また頚部脊髄症に対する椎弓形成術(脊柱管拡大術)も当科では140例を超えましたが軟部組織に対する侵襲に伴う術後の軸性疼痛という問題点があり、これもMISに移行しつつあります。当科でも昨年から椎弓に付着する筋肉を温存した椎弓形成術(skip laminoplasty)を導入しており、まだ十数例の経験ですが術翌日からカラー固定なしで座位、立位を開始できるようになりました。

 今後もますますMISは発展してゆく手技と思われますが、MISはlearning curveという壁があるため、MISに至るまでのconventionalな基本手技がおろそかにならないようトレーニングを積みながらさらに症例を重ねるつもりですので今後とも患者様のご紹介のほどよろしくお願いします。

 これまでの当科における脊椎手術の推移をグラフに示します。

脊椎手術の推移(県立加古川病院)

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6.当院におけるC型肝炎に対する
インターフェロン療法の現況

尹 聖哲

 C型肝炎は慢性肝炎を経て約20年で肝硬変に進行すると言われている。肝硬変は、それ自体が進行して死に至る厄介な病気であるが、年率約7%(10年間で約70%)に肝がんが発生するとされている。本邦では1992年にインターフェロン(IFN)療法が導入され、ウィルスを駆除することによって肝炎が鎮静化し肝硬変に進行しなくなるとともに、肝がんの発生率が10分の1以下に減ることがわかってきた。当初は副作用が多い上に著効率(治癒率)も約30%と満足できるものではなかった。これは1型でウィルス量が多い難治例では著効率が5%未満であったからである。しかし2001年にリバビリン(RB)、2003年12月にペグ化インターフェロン(PEG)、さらに2004年12月には両者の併用療法が認可され、難治例の著効率が約50%に向上した。当院でもC型肝炎に対して積極的にインターフェロン療法を行なってきたので、PEG認可以後の現況について報告する。

 2004年2月〜2005年10月にIFNを導入したC型肝炎患者数は61例であった。内訳は、1型高ウィルス37例、1型低ウィルス4例、2型高ウィルス10例、2型低ウィルス10例であった。投与方法は、IFN単独24週投与5例、PEG単独48週投与22例、IFN/RB併用48週投与10例、PEG/RB併用48週投与24例であった。IFN単独投与は2型低ウィルスで24週投与を希望した例に行なわれたが、PEG単独投与はさまざまな例であった。IFN/RB併用投与はPEG/RB認可以前に高ウィルスに対して行なわれたが、2004年12月以降は、1型高ウィルス全例がPEG/RB併用投与であった(表1)。背景因子では、年齢は平均55歳(12歳〜73歳)、男女比はほぼ1:1、肝生検による線維化は軽度から肝硬変までさまざまであった。輸血歴が10例にあり、再投与例は18例であった(表2)。

表1.当院におけるIFN導入例の内訳(2004.2〜2005.10)

  1型
高ウィルス
1型
低ウィルス
2型
高ウィルス
2型
低ウィルス
 
IFN単独 1       4   5 
PEG 3  4  9  6   22 
IFN/RB併用 9     1      10 
PEG/RB併用 24          24 
  37  4  10  10   61 

表2.IFN導入例の背景因子

  PEG単独 PEG/RB併用 全例
例数 22 24 61
男/女 10/12 14/10 31/30
年齢 55(12-73) 57(30-73) 55(12-73)
1型/2型 7/15 24/0 41/20
HCV-RNA量(KIU/ml) 456(5→2400) 1560(290→5000) 1011(5→5000)
線維化F0/F1/F2/F3/F4 0/8/6/6/1 1/7/5/9/2 1/19/16/21/3
ICG・R15(%) 16 12 16
初回/再投与 15/7 18/6 43/18
輸血歴あり/なし 3/19 6/18 10/51

 治療成績を示す。IFN単独の著効率は80%で、2型低ウィルスは4例全例が著効であった。IFN/RB併用の著効率は20%であった。PEG単独は投与が終了し効果判定が可能であった7例中5例(71%)が著効であった。PEG単独の治療経過をみると、低ウィルス例は投与開始4週以内に血中ウィルスが消失し、高ウィルス例でも24週以内に血中ウィルスが消失した(図1)。PEG/RB併用は認可後1年未満のため著効率は算出できない。24週以上投与した18例の治療経過をみると、11例(61%)が投与開始8週以内に血中ウィルスが消失し、14例(78%)が24週以内にウィルス消失を認めていた。全例が1型高ウィルスの難治例であることを考えると治療効果が従来に比べて格段に向上していることが推測される。しかしながら線維化進行例、前回治療が無効であった再投与例、投与早期に投与減量または休薬を余儀なくされた例では治療反応が不良であった。

図1.PEG単独療法の効果

 IFN療法にはさまざまな副作用があるが、重篤な場合は中止が必要となる。当院では61例中6例(9.8%)が中止となった。その内訳は、うつ病2例、感染症3例、汎血球減少1例であった。うつ病はしばしば治療中止の原因となることが従来から報告されているが、当院では軽度のうつ症であれば抗うつ剤を併用しあるいは投与量を減量することで可能な限り治療を継続する方針であるため、うつ病による中止例が少なかった。しかしながら、うつ症またはうつ病のため治療中止や休薬または減量した例は、PEG単独で2例(9%)、PEG/RB併用では4例(17%)であり、リバビリン併用はうつ症の頻度を増加させる可能性が示唆された。PEGを投与する場合は血球減少に特に注意が必要とされている。好中球減少(750/μl未満)はPEG単独で32%、PEG/RB併用で33%であったが、重篤な例はなかった。血小板減少(8万/μl未満)はPEG単独で36%、PEG/RB併用で25%であった。PEG単独の1例に著明な血小板減少(1万/μl)を認めた。またリバビリン併用では貧血は避けられない副作用である。PEG/RB併用では10g/dl未満の貧血が21%にみられたが、リバビリン減量によって対応可能であった。

 以上、当院におけるIFN療法の現況を報告したが、最新の治療であるPEG/RB併用投与は認可後1年未満であるため治療成績を検討することができなかった。しかし治療経過から従来よりも成績が格段に向上していることが推測された。副作用についても、慎重な観察と投与量の減量や支持療法を行なうことで重篤な例を回避することが可能と思われた。線維化進行例では治療に対する反応が不良な上、副作用出現頻度も高いため、今後も肝炎を早期発見し早期治療につなげてゆくことが重要な課題と考えられる。

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編集後記

 2006年を迎え、神野地区に新県立加古川病院として新築移転するまで、後3年余りになりました。現地では基礎工事前の遺跡調査も行われています。そしてこの1年で新病院の具体的な設計図が決まっていきます。

 医療ニュース3号をお届けいたします。今回はトピックスを多く掲載することになりました。特に平成16年4月より開設いたしました「生活習慣病外来」の成果をまとめました。これ以外にも様々な患者サービスを企画したく思っていますが、病院機能評価の受診などがあり、なかなか思うようにはいきませんでした。ただ去年の10月より放射線部・検査部の緊急業務を19時まで延長することになり、17時以降の救急患者や急変患者にも対応できるようになりました。地域の診療所をはじめ医療機関の皆様には、各診療科を通して、多いに利用していただきたいと思っております。

2006年1月  加堂 哲治

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お問合せ

〒675-8555 加古川市加古川町粟津770-1

兵庫県立加古川病院

編集委員長 加堂 哲治

TEL 079-423-0001  FAX 079-423-3820

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