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兵庫県立加古川病院

医療ニュース

The Medical News

2007年9月 第6号

目次

  1. 糖尿病診療について
  2. 平成18年内科入院患者の推移
  3. 当院における脊椎手術の特徴
  4. 皮膚科における診療の特徴
  5. 安全ながん化学療法の実施に向けた取組みについて
  6. デスケースカンファレンスから得られたケアの実際と課題
  7. 編集後記
  8. お問合せ

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1.糖尿病診療について

内科  大原 毅

 近年、糖尿病は急激に増加しており、平成14年度の糖尿病実態調査によると「糖尿病が強く疑われる人」は約740万人、「糖尿病の可能性が否定できない人」を加えると約1620万人に達すると考えられており、40歳以上の成人では6~7人に1人は糖尿病であると推測されています。しかしながら、糖尿病の人のうち実際に治療されている人は約半分程度の人にすぎません。もう半分の人は自分が糖尿病であることを知らない、あるいは知っているけれども治療を受けていないということになります。

 このように未治療の人が多い理由の一つは、糖尿病が自覚症状の乏しい病気だからではないかと思われます。糖尿病の症状は「のどが渇く」「よく水やお茶を飲む」「尿が多い」「体重が減る」などと一般的には言われていますが、このような症状は相当に血糖値が高くならないと現れてきません。したがって、少しくらい血糖値が高くても症状はほとんどないため血液検査をしないと糖尿病であるとわかりませんし、検査をして「血糖値が高い」といわれても「何の症状もないのでたいしたことはない」と思ってしまう人が多いのではないかと考えられています。このような症状が出現しない程度の高血糖であっても長期間持続すると眼や腎臓、神経に障害が生じてきますし、動脈硬化症が生じて血管が詰まりやすくなってきます。眼に生じる合併症に「糖尿病網膜症」があり、これにより失明してしまう人が年間3500人以上あり、成人の失明の原因の多くは糖尿病によるものと考えられています。また、腎臓に生じる合併症を「糖尿病腎症」といいますが、腎臓の働きが悪くなって人工透析をしなければならなくなる人のうち、一番多いのが糖尿病によるものと言われています。脳や心臓の血管が詰まると脳梗塞や心筋梗塞が生じますが、糖尿病では数倍多く発症すると言われています。このように「ほとんど症状がない」にもかかわらず、後に重大な結果を引き起こしてしまうところに糖尿病治療の困難さがあると思われます。したがって、糖尿病を早期に発見するためには、「血糖値が少し高い」と言われたことのある人、肥満している人、血圧の高い人、血縁に糖尿病のいる人、運動不足の人などは定期的に検査を受ける必要があり、糖尿病と診断されれば、たとえ自覚症状がなくても早期より治療を開始することが重要であると思われます。

 また、糖尿病は長期間にわたって治療を継続する必要があり、さらに「食事療法」や「運動療法」が治療の主体となりますが、これらは患者の生活そのものに深く関連しています。したがって、糖尿病を治療するためには「糖尿病という病気そのもの」のみならず、「糖尿病患者の生活」に関わることが必要になってきます。そのため、糖尿病診療においては糖尿病の専門医のみならず、「かかりつけ医」が大きな役割を果たすと考えられています。

 そこで、(1)病診連携の推進、(2)受診勧奨と事後指導の充実、(3)糖尿病治療成績の向上を目標として、日本医師会と日本糖尿病学会と日本糖尿病協会が協力して2005年2月に「糖尿病対策推進会議」が設立されました。「受診勧奨と事後指導の充実」については、糖尿病に関する国民向けのリーフレットや医師向けの「糖尿病治療のエッセンス」が作成、配布されています。また、地域における糖尿病対策を推進するために各都道府県単位で糖尿病対策推進会議が設立され、兵庫県においても兵庫県医師会、糖尿病学会、糖尿病協会兵庫県支部が協力して「兵庫県糖尿病対策推進会議」が設立されました。現在、兵庫県の各地で市民公開講座を開催することにより糖尿病に関して広く啓蒙し、医師向けの講演会を開催して糖尿病診療に関する最新の情報を提供したりしています。

 「糖尿病治療成績の向上」に関しては、近年「科学的根拠(エビデンス)に基づく医療」の重要性が言われており、糖尿病診療においても「エビデンス」が求められています。現在、これらのエビデンスは欧米を中心とした外国のものが多く、「本当にその臨床研究の結果は私たち日本人でも同様なのか」という疑問が残っています。そこで厚生労働省が中心となって、日本人における糖尿病に関する質の高いエビデンスを求めて、「糖尿病発症予防のための介入試験(DOIT-1)」「2型糖尿病患者の治療中断率改善のための介入試験(DOIT-2)」「2型糖尿病患者を対象とした血管合併症抑制のための強化療法と従来治療とのランダム化比較試験(DOIT-3)」の臨床研究が開始されています。兵庫県立加古川病院は「DOIT-1」に、神戸大学医学部附属病院糖尿病内科は「DOIT-3」に参加し、糖尿病の臨床研究に協力しています。

 「病診連携の推進」について兵庫県立加古川病院では今後、地域における「かかりつけ医」との連携をさらに充実させるために糖尿病に関するネットワークのようなものを構築していきたいと考えています。

 まだまだ途中段階ではありますが、糖尿病の発症・進展を予防し、重篤な合併症を少しでも減らすことが出来ればと思い努力しておりますのでご協力の程をよろしくお願いします。

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2.平成18年内科入院患者の推移

内科  加堂 哲治

 平成18年(2006年)及び平成17年、平成16年の3年間の内科入院患者の疾患別内訳は下記の表のごとくであった。

 呼吸器疾患では、今年も肺癌が増加し、気管支喘息が減少した。特に気管支喘息の入院患者数は平成16年に比べ半数以下になっている。これは日本における喘息死が吸入ステロイドの普及により近年急激に減少していることと同様、この地域における吸入ステロイドによる管理が定着してきたためと思われる。また肺炎の入院の減少も、「市中肺炎ガイドライン」の普及により軽症肺炎患者が在宅で治療されるようになったためであろう。

 循環器疾患の高血圧・心不全の入院は、ほぼ同程度である。心筋梗塞や狭心症は侵襲的検査を行なっていないため積極的に専門病院に紹介しているので減少傾向にある。

 消化器疾患では大腸ファイバー検査枠の増加に伴い、大腸ポリープが大幅に増加した。また内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection EMR)の普及により、早期胃癌の内視鏡的手術も増加している。

 肝胆膵疾患も増加している。特に肝癌は経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)や経動脈的塞栓術(TAE)などを肝臓専門医が積極的に行なっているため、年々増加している。また肝生検に基づく、適切なインターフェロンの導入もコンスタントに行なっている。

 腎疾患は、本院には専門医もおらず、透析装置もないため、初期の段階から専門病院に紹介しているため、引き続き減少傾向にある。

血液疾患も本院には専門医がいないため、減少傾向にある。

 代謝疾患の代表である糖尿病に関しては、平成18年8月より糖尿病学会専門医が着任し、より専門性の高い糖尿病診療を展開している。入院患者数にはまだ反映されていないが、チーム医療の組織化、地域連携のネットワークつくりなど、今後成果が上がってくるものと思われる。

 神経脳疾患においては、脳梗塞も脳出血も減少している。これは発生頻度の減少もさることながら、手術のできる専門病院に紹介するためでもある。

 この3年間の内科入院疾患の推移から言えることは、ますます専門性に特化してきていることである。なんでもかんでも診る内科は、患者も要求しなくなったし、医療機関も望むところではなく、医師のモチベーションも低下する。今後も一層専門性を高め、地域での役割分担を重視し、質の高い医療を効率的に提供できるようにしていきたいと思っている。

内科入院患者
2004年 2005年 2006年
総数 1349名 1277名 1334名
726名 760名 809名
613名 517名 525名
年令
14~94歳 15~97歳

平均63歳 平均65歳
年令
15~94歳 12~96歳

平均65歳 平均66歳

疾患
感染症
19 1.4 16 1.3 13 1
麻疹 5
0
1
伝染性単核症 0
4
4
呼吸器疾患
197 14.6 228 17.9 192 14.4
肺癌 41
61
63
肺炎 80
90
66
気管支喘息 24
18
11
循環器疾患
148 11 112 8.8 125 9.4
高血圧 64
52
53
心不全 33
20
29
狭心症 17
14
11
消化器疾患
268 19.9 278 21.8 313 23.5
胃癌 27
22
29
食道癌 7
9
4
大腸ポリープ 81
94
128
イレウス 23
18
27
胃潰瘍 18
18
7
肝胆膵疾患
248 18.4 239 18.7 293 22
肝癌 49
59
70
膵癌 12
6
16
胆嚢胆管癌 13
16
6
C型慢性肝炎 32
56
51
胆嚢胆管炎 38
13
27
腎疾患
56 4.3 19 1.5 24 1.8
慢性腎不全 51
8
5
ネフローゼ 3
5
3
血液疾患
46 3.4 31 2.4 19 1.4
悪性リンパ腫 11
20
8
代謝疾患
236 17.5 179 14 191 14.3
糖尿病 234
176
181
内分泌疾患
87 6.4 90 7 53 4
脳梗塞 37
32
15
脳出血 4
4
2
10 内分泌疾患
7 0.5 15 1.2 8 0.6
11 アレルギー疾患
2
0
2
12 膠原病
10 0.7 7 0.5 4
13 その他
25
63
97

悪性疾患 181 13.4 196 15.3 231 17.3
糖尿病 234 17.3 176 13.8 181 13.6

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3.当院における脊椎手術の特徴

整形外科・リハビリテーション科  原田 俊彦

 当科の最大の特徴は脊椎脊髄疾患の手術治療を専門としていることである。医師会だけでなく、近隣の市中病院からも多くの症例をご紹介頂き、東播磨の脊椎外科センター的な役割を担っている。脊椎手術件数はH17年に年間100件を超えたが、昨年は141件、今年はさらにそれを上回る勢いで増えつつある。当科では最近の脊椎外科の潮流である小侵襲手術(MIS)だけでなく、脊椎instrumentation手術などのmajor surgeryも行っているので、今回は当科の脊椎手術の実際について紹介する。

1. 小侵襲手術(MIS)

  1. 腰椎椎間板ヘルニアに対する顕微鏡視下手術、内視鏡視下手術:ヘルニア手術療法のgolden standardは顕微鏡視下のヘルニア摘出術である。当科ではH11年よりCasper法による顕微鏡視下手術を150例以上に行ってきたが、2年前より内視鏡視下ヘルニア摘出術(MED)と同じtubular retractorを使用する顕微鏡視下手術であるMetrx MD法を導入している。Metrx MD法はMEDと手術侵襲の程度や後療法には全く差がないが、学会の脊椎内視鏡下手術・技術認定医制度を考慮し、当科でも今年から症例を選んでMEDも行っている。
    H18年1~12月のヘルニア手術の内訳はCasper法:22例、Metrx MD法:16例、Love法(顕微鏡視下)6例、MED法:1例であった。今年は既に28例のヘルニアに手術を行っているが、うちMED法は10例、Metrx MD法9例、Casper法8例とMEDの件数が増加しつつある。
  2. 脊柱管狭窄症に対するMILD法:脊柱管狭窄症は昨年タレントのみのもんたが手術を受けて話題となった。脊柱管狭窄症の手術療法の基本は神経除圧であり、当科でもこれまでconventionalな後方除圧術(拡大開窓術)を行ってきたが、今年からMISとして、顕微鏡視下の筋肉温存型椎弓間除圧術(MILD法)を開始している。MILDとはmuscle-preserving inter laminar decompressionの略で、椎弓に付着する筋群を温存したまま狭窄部位を除圧する方法である。この方法により術後後療法が簡略化され、術翌日から歩行を開始し、コルセット装着も不要となった。まだ適応を限定しているため、10例程度の経験であるが今後さらに増加すると考えられる。
  3. 頚部脊髄症に対する選択的椎弓形成術(skip laminoplasty):skip laminoplastyは従来の頚椎椎弓形成術で問題となった術後の頚部痛を解決するために開発された術式で、頚椎のアライメントを維持する後方筋群を温存しながら、必要最小限の後方除圧を行う方法である。これまで28例の頚部脊髄症例に本法を行ったが、以前と比較して術後の頚部痛は激減し、カラー固定も不要となった。しかし後縦靭帯骨化症などで広範囲に狭窄がある場合などは本法で対処できない場合もあり、そういった場合でもできる限り後方筋群を温存しながら多椎間の椎弓形成術を行うように工夫している。

2. 環納式椎弓形成術(T saw recapping laminoplasty)

  •  環納式椎弓切除術は古くからある術式だが、本法はT sawと呼ばれる極細の糸鋸で椎弓を切離するため、切離部のロスがほとんどなく、環納された椎弓の安定性がよいため骨癒合が非常に良好なことが特長である。骨性狭窄のない脊髄腫瘍や外側椎間板ヘルニアなどによい適応がある。椎弓切離の方法により通常の椎弓切除ではアプローチできない脊髄前方の病変(髄膜腫や脊髄ヘルニア)でも安全に手術が可能となる。これまで13例の脊髄腫瘍と10例の外側ヘルニアに対し本法を用いて手術を行った。

3. 脊椎instrumentation手術

  •  本来は脊柱変形を矯正する目的で行われるpedicle screwやspinal hookなどのinstrumentationを用いた脊椎固定術である。
  • Unstableな脊椎腫瘍、脊椎損傷ではinstrumentationを併用した固定術が必須であるが、すべり症や側彎を伴った脊柱管狭窄症例で、神経除圧だけでは対応できない場合にも本法を行っている。Implantの感染や手術侵襲といったリスクはあるが、術後の良好なstabilityを得て臥床期間を短縮化するためには本法は有用な手段となる。最近では本法にもMISが導入されつつある。
  • H17年の脊椎固定術は13例(うち変性疾患10例)、H18年は19例(同10例)であったが、今年は半年足らずで既に16例(同11例)に達しており、変性疾患に対する脊椎固定術は今後増えると予想される。

4. 今後の脊椎手術の展望

  •  当科では、より難易度の高い胸椎や頚椎の脊椎instrumentation手術も増加傾向にあり、2年後の救命救急センター併設による脊椎損傷などの救急外傷の増加に備えて手術ナビゲーションシステムの導入が必須と考えている。

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4.皮膚科における診療の特徴

皮膚科  足立 厚子

1.当科治療方針

  1. 皮膚悪性腫瘍については、デルマトスコープや皮膚生検により、早期確定診断に努めています。治療については、皮膚悪性腫瘍ガイドラインに基づき、局所の完全切除と植皮もしくは有茎皮弁による再建術を行っています。
    センチネルリンパ節生検、リンパ節郭清を積極的に行い、必要な症例については、放射線治療や化学療法も併用しています。
  2. 皮膚悪性リンパ腫についても、細胞形態的・免疫組織学的・遺伝子学的見地より、早期診断と病期の確定診断を行っています。
    治療については、皮膚局所の治療とともに、化学療法・放射線療法など集学的治療を施行しています。
  3. 膠原病・血管炎・ベーチェット病は全身疾患であすが、皮膚病変から診断がつくことも多く、早期診断と他科との協力の上で、多角的な治療を心がけています。
  4. 薬疹、蕁麻疹、接触皮膚炎、金属アレルギー、アナフィラキシー、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患については、問診、血液検査、皮膚テスト、負荷テストなどを行い、原因物質の検索を行っています。薬剤、化粧品などでは成分をメーカーより取り寄せ検査をすることにより、原因成分を決定し安全な代替品を紹介します。即時型アレルギーの一部では減感作治療を施行しています。(蜂毒ショック、花粉アレルギーなど)。重症型薬疹も致死的になるため、治療および原因薬の究明および再発予防に力を入れています。
  5. 陥入爪甲については、人工爪・フェノール法による治療を行っています。
  6. 脱毛症については、紫外線治療・SADBE治療を行っています。

2.入院:18年度年間入院患者総数 6,585例、一日あたり平均18.0例入院

新患紹介率49.0%
対象は感染症、アレルギー疾患、悪性腫瘍、膠原病、水疱症、紅斑症など皮膚科全般に渡ります。薬疹、蕁麻疹、ショックなどのアレルギー疾患、皮膚悪性腫瘍、血管炎の増加が特徴でした。



3.スタッフ紹介

足立厚子 皮膚科部長、日本皮膚科学会専門医、日本アレルギー学会専門医・指導医、
日本アレルギー学会代議員、日本接触皮膚炎学会理事、
専門分野 アレルギー疾患、膠原病・水疱症などの自己免疫疾患、リンパ腫など
藤原規広 皮膚科医長、専門分野、皮膚悪性腫瘍、皮膚外科
西谷奈生 皮膚科医員
上野充彦 専攻医
福本毅 専攻医

表1.皮膚科入院症例疾患別内訳


16年度 17年度 18年度
全入院症例数
215例 206例 222霊
感染症
63例 59例 60例

帯状疱疹 42 36 26

カポジ水痘様発疹症 7 8 9

蜂か織炎・丹毒 11 13 20

壊疽性筋膜炎 0 1 1

麻疹 1 0 0

重症水痘 2 2 4
アレルギー性皮膚疾患
36例 35例 51例

薬疹 12 13 20

蕁麻疹、ショック 6 8 13

アトピー性皮膚炎 6 7 2

多形紅斑 2 1 9

紅皮症 7 4 3

痒疹 3 2 2
悪性腫瘍
30例 34例 36例

悪性黒色腫 5 3 3

皮膚有棘細胞癌 4 7 15

paget病 2 1 2

基底細胞癌 9 11 5

ボーエン病 5 8 7

隆起性皮膚繊維肉腫 2 1 0

悪性リンパ腫 3 3 4
膠原病
23例 20例 27例

SLE 6 4 1

皮膚筋炎 4 4 5

PSS 2 3 3

リウマチ熱 0 1 1

成人型still病 0 1 2

血管炎 10 6 15

MCTD 1 1 0
良性腫瘍
14例 12例 10例
水疱症
12例 3例 5例

天疱瘡 4 0 3

類天疱瘡 6 3 2

後天性表皮水疱症 2 0 0
ベーチェット病・スイート病・結節性紅斑
10例 7例 3例
熱傷
8例 7例 3例
慢性膿皮症
5例 6例 4例
皮膚潰瘍
6例 6例 6例

糖尿病性壊疽 3 3 2

潰瘍 1 3 4

褥瘡 2 0 0
炎症性角化症
6例 7例 8例

乾癬 5 7 5

掌せき膿疱症 1 0 3
好酸球増多疾患
2例 1例 1例

高好酸球症候群 1 0 1

木村病 1 1 0

表2.17年度・18年度皮膚科手術・生検件数


17年度手術・生検件数 18年度手術・生検件数
項目 外来 入院 合計
件数
外来 入院 合計
件数
デブリードマン 0 11 11 1 7 8
皮膚・皮下腫瘍摘出術
(露出部)
141 5 146 129 8 137
皮膚・皮下腫瘍摘出術
(露出部以外)
112 15 127 119 11 130
皮膚悪性腫瘍切除術 7 30 37 21 43 64
センチネルリンパ節生検 0 2 2 0 3 3
瘢痕拘縮形成術 1 1 2 0 2 2
全層、分層植皮術 0 22 22 0 28 28
皮弁作成術、移動術、
切断術、遷延皮弁術
1 15 16 8 13 21
爪甲除去術 3 0 3 6 0 6
陥入爪手術 53 4 57 41 5 46
組織試験採取、切採法
(皮膚、筋肉)
185 31 216 271 65 336
全合計 503 134 637 596 182 778
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5.安全ながん化学療法の実施に
向けた取組みについて

薬剤部  郷地 啓子

【はじめに】
 複雑・多種多様化するがん化学療法を安全且つ適正に実施するため、薬剤部ではプロトコール・レジメン管理、無菌調製業務、医師・看護師用ワークシートの作成、服薬指導など抗がん剤に係る全ての過程で薬剤師の専門性を生かした取組みを実施しているので報告する。

【取組み】
1.プロトコール/レジメン管理
 平成14年4月、「がん化学療法の適正使用マニュアル」を作成し、平成14年9月からプロトコール・レジメン管理を開始した。
なお、抗がん剤処方を正確且つ迅速にチェックするため、薬剤部独自で「がん化学療法プロトコール・レジメン管理database」を構築し、処方せん鑑査時に過量投与や投与間隔のチェックを実施した。本システム導入により、手書きによる抗がん剤の投与量誤りや投与間隔誤りのチェックが瞬時に容易となり、医療事故防止に役立てることができた。
また、医師・看護師用に病棟・外来に抗がん剤のプロトコール一覧ファイルを配布し、抗がん剤の処方支援等に係る情報提供を行った。
現在、癌種別に登録されたプロトコール数は約120種類ある。

2.無菌調製業務
 平成16年3月から抗がん剤の無菌調製業務を開始し、外来及び入院患者への殆ど全ての抗がん剤を薬剤部で調製している。薬剤部での無菌調製業務を実施するにあたり、前記システムから患者処方ラベルを発行し、手書き記載誤りの防止に努めた。
  また、抗がん剤の処方鑑査、取り揃え、無菌調製、最終鑑査まで4人の薬剤師が関わり、厳密なチェック体制を行うことにより、より正確な調剤が可能となった。
  薬剤師の専門性を生かし、溶解方法等医薬品をより適正に取扱うことができるとともに、医薬品の無菌性を高め、安全キャビネット内での調製により調製者の安全も確保できた。
  抗がん剤の無菌調製件数は平成16年4月から上向き傾向を示し、平成17年10月頃から月間約250件での横ばい状態で推移しているが、平成16年度との比較では約2倍の増加となっている。



3.がん化学療法ワークシートの作成
 抗がん剤を取扱う医師・看護師・薬剤師が各々の過程で厳密な確認を行い、安全性を高め、リスク回避を図るため、平成17年8月にがん化学療法ワークシートを作成した。
現在、汎用プロトコール30のうち、1/3の10を作成し、使用している。
がん化学療法ワークシートには、①患者情報(氏名・年齢・身長・体重・体表面積)、②化学療法名・クール数・投与開始日、③投与量、④投与量の上限値、⑤標準レジメン・プロトコール表、⑥用量規制因子、⑦投与前確認事項、⑧併用処方薬確認事項、⑨投与上の注意事項、⑩肝・腎機能を考慮した投与量の調節、⑪副作用及びその対策、⑫使用薬剤の血管漏出時の対策が記載してあり、医師・看護師・薬剤師の共有の情報ツールとして、安全且つ適正ながん化学療法の実施が可能となった。

 現在、汎用プロトコールの全てのワークシート作成に向けた取組みを行っている。



4.患者への服薬指導(外来・入院)
 入院患者は薬剤管理指導による服薬指導を行ってきたが、平成16年7月からがん化学療法を受ける外来患者への指導を開始した。退院後の副作用チェックが可能であり、外来で初めて化学療法を開始する患者や使用薬剤が変更になった患者に対しても薬の効果・副作用等の説明を行っている。

【おわりに】
 抗がん剤を使用する全ての患者の安全性を高め、煩雑ながん化学療法の標準化・効率化を図るとともに、医師・看護師・薬剤師が各々の職能を発揮したチーム医療を推進し、患者のQOLの維持と向上に貢献していきたいと思う。

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6.デスケースカンファレンスから
得られたケアの実際と課題

看護部  安原 香世  鷲尾 雅永

はじめに
 現在、看護師は固定チームナーシング継続受け持ち制をとり担当看護師が中心となり患者に対して一貫したケアを行っている。しかしその反面、ターミナル期を迎えた患者に対しての責任感や負担が大きくなっている。さらに、亡くなってから自分たちの関わりに対してジレンマに陥ることもしばしばである。
当病棟では、自分たちの関わりや悩みをスタッフ同士で話すことはあってもカンファレンスという場を通して全員で共有するには至っていなかった。そこで、自分たちの行なってきたケアをデスケースカンファレンス(以下カンファレンスと略す)で振り返り、よかったことや後悔していること、ストレス、ジレンマがどのようなものなのかを知ることで、現状と課題が明確になり、ケアの向上が図れるのではないかと考え、本研究に取り組み、結果が得られたので報告する。

1.研究方法
 4事例のデスケースカンファレンスを録音し、遂語録を作成し、KJ法で分類カテゴリー化、その中から「看護をしていてよかったと思われる意識・行動をプラス面」「看護をしていて後悔した意識・行動をマイナス面」「ストレス・ジレンマ」の3つの項目に分け考察した。

2.結果・考察
 まず、プラス面では『チームワーク・サポート』が29%と多く受け持ち看護師を中心としたケアを行ないながら、チームメンバーおよび他チームのメンバーがそれをサポートすることで、患者のケアの充実と受け持ち看護師自身のストレスが軽減できることへとつながっていることがわかった。『看護に対する満足感』は14%であり患者の希望に応じるようにケアし患者が満足を得られることで看護師自身の良い評価へとつながっている。『患者への共感』は9%であり、患者の苦痛を感じてそのままの思いを伝え返すことの中で「患者の思いに対しどう言ってあげたらいいのかわからなくて、手を握ってボロボロ泣いた」との内容があった。小川は「死にゆくことへの悲哀を一緒に受け止め支援していくためには、患者と医療人がしっかりと心を通じ合わせることが大切である。共感的な思いやりのあるコミュニケーションは人間としての互いの理解を深め、患者との信頼関係を築いていく上で非常に重視される」1)と述べている。
その中で緩和医療専門医の介入は患者の症状コントロールができていくことで看護師自身のストレス軽減につながっていることが明確となり、その役割は大きいと思われる。


 マイナス面では4項目があがり、中でも37%と高かったのは「療養環境を整えることについて」と「病状の進行が早い患者に対して全体像がとらえられずいい関わりができなかったという反省や心残りという看護師の思い」の2項目があがった。『マッサージ』は13%で実際のケア面として患者の苦痛を取り除くために早期に介入すればよかったという思いが出てきた。


 ストレス・ジレンマの項目においては半数が「看護師が感じるストレス・ジレンマ」でありその中では医師の指示や治療について、疼痛コントロールがうまくいかないこと、患者家族とのコミュニケーション不足とその中でのケアの不十分さ、また自分の経験不足、無力感を感じ患者の人生について「これでよかったのか」などの様々なストレスやジレンマがあった。患者と接する時間が最も長い看護師は主治医と患者家族の板ばさみになることが多い。このような問題を解決するためにも医師や他のコメディカルを含めた医療チームの中でカンファレンスを通し徹底的に話し合い検討し、お互いを理解し協力するチーム的アプローチが必要であると考える。『ICに対して』『看護師の思い』についてはそれぞれ11%であった。IC後看護師の関わりは重要である。看護師が身近な存在となり信頼関係を築くことで患者家族がどのように理解し受け止めどう感じているのかを知り、ケアへとつなげていくことが必要なため、今後の課題としていきたい。



3.結論

  1. デスケースカンファレンスよりターミナルケアにおけるスタッフ間のサポート、緩和ケアチームや緩和医療専門医の介入は患者へのケアの充実と看護師のストレス軽減につながっていることが明確になった。
  2. 短期間でターミナルを迎える患者の場合、チーム全体で早期に患者家族の把握に努め、病状の変化に合わせながらケアしていく必要がある。
  3. ターミナルケアにおける様々なストレス・ジレンマを解決するには日々のチーム内でのカンファレンスを通して話し合い検討し、必要な時はチーム医療的にアプローチすることが重要である。
  4. 看護師が身近な存在となることでIC後の患者家族の受け止め方、感じ方に応じたケアの方向性を見出す必要がある。
  5. デスケースカンファレンスは有効な緩和医療の学習の機会になっているため今後も続けていく。

引用参考文献

  1. 小川道雄:一般病棟における緩和マニュアル、p234、
  2. 柏木哲夫:死への看護、なぜチーム・アプローチが必要か、看護学雑誌、41(1)、p67、1977.
  3. 後明邦男、他編:がん終末期難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール、p274
  4. 長谷川浩:末期患者を支えるコミュニケーション、ターミナルケア、5(1)、p5-9、1995.
  5. 佐藤洋子、他:終末期ケアの問題点とプライマリーナースの関わり方、第36回日本看護学会論文集(成人看護Ⅱ)、p294-296、2005.
  6. 沼澤佐代子、他:医療者・患者家族の癒しにつながるデスケースカンファレンス、看護学雑誌、64(6)、p534-538、2000.
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7.編集後記

 平成21年度に開院予定の、新加古川病院(仮称)の基礎工事が終わり、7月21日には起工式も無事終了いたしました。今後は具体的な、医療内容、運営内容の検討に入ります。
 少し遅れましたが「医療ニュース第6号」をお届けいたします。今回は「県立加古川病院地域医療連携会議」、「広報誌けやき」そして「医療ニュース」と各部署の原稿を必要とする行事が重なったため、内容が少し減少いたしました。今後は時期をずらしながら発刊して行きたいと思っております。
 またご意見がございましたら、お聞きかせください。

平成19年9月  加堂哲治

整備スケジュール
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〒675-8555 加古川市加古川町粟津770-1

兵庫県立加古川病院

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TEL 079-423-0001  FAX 079-423-3820

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